◇◆◇◆◇ たいしんなんでも ◇◆◇◆◇

 皆様の耐震に関する素朴な質問に関して浅学な知識の範囲内でお答えします。
何か質問がございましたらご連絡下さい。

 ご質問に対して順次追加していく予定ですので、温かく見守ってやって下さい。


Q.重複反射理論による地盤の振動特性、卓越周期の算出がPS検層で得られたデータより可能
  でしょうか。 また、重複反射理論、地盤の振動特性、卓越周期、減衰定数についても語句の
  説明をお願いします。                                 民間 K さん

A.柱状図と密度、それにPS検層で得られたS波速度があれば十分可能です。
  ・重複反射理論は、地震波形が工学基盤から水平地層群に鉛直に伝播するせん断波によって
   生じる水平方向の振動を計算するものである。 重複反射理論を応用した代表的な1次元の
   地震応答解析としてSHAKEがある。

  ・地盤の振動特性として、地表面と基盤面の加速度応答スペクトルを求め、Parzen Window等に
   よる平滑化を行なった後、その比を算出すれば増幅スペクトル(増幅率)が求まる。 また地表
   面の応答加速度から応答スペクトルを計算することもできる。

  ・卓越周期は増幅スペクトルと関係があり、増幅スペクトルのピークが小さい振動数から順番に
   f1,f2,・・・,fnを求め、その逆数がn次の卓越周期T1,T2,・・・,Tnになる。

  ・減衰定数(h)は土質試験によりG〜γ曲線、h〜γ曲線が得られる。 実際は実験が面倒だから
   一覧表が用意されていたりする。 解析時には、せん断ひずみγによって地盤の剛性が増幅
   したり低下し、減衰定数も同様に変化する。


Q.最近話題の「高速土砂流動」について教えて下さい。

A.先の震度6弱を記録した三陸南地震(2003/5/26)では、地震に伴なう揺れと地下水の相互
  作用で、緩い斜面にもかかわらずスピードの早い土砂崩れが遠くまで達する現象である。
  地下水を含む傾斜地の地盤が揺さぶられ、バラバラになった土砂の粒子間に水が入って軟化
  して起きるものであり、一種の液状化に伴う側方流動化が高速かつ遠くまで達したもので今後、
  学会等による原因究明が待たれる。


Q.重複反射理論を分かり易く教えて下さい。 K-net の記録は地表のもので、これを工学
  基盤での振幅にするため重複反射理論を用いればいいのでしょうか? 金沢大学 鶴原さん

A.その通りです。 K-net には観測地点の柱状図データも公開してありますので、それより
  工学基盤へ戻していただければ結構です。 重複反射理論としては1次元地震応答解析
  SHAKE があります。 理論そのものは簡単ですので、ご自分で勉強していただければ
  よろしいのですがプログラムは約2,000行ほどになり、またライセンス等の問題もありますので、
  貴大学の工学部M助教授にご相談下さい。


Q.広島工業大学社会建設工学コース4年のHさんから質問をいただきました。
  計測震度を求めるプログラムについての質問
   ・ファイル オープンのSHINDO.DATには何を入力をすればいいですか
   ・入力のファイルの書式を教えてください。
                                          以上
            よろしくお願いします.

A.SHINDO.DAT には3成分波形のファイル名を1行書いていただければ結構です。
   例えば、HIROSHIMA.NS HIROSHIMA.EW HIROSHIMA.UD であれば
  HIROSHIMA のみで拡張子はいりません。
   次に、3成分の内容ですが、
   READ(2,*)
   READ(2,*) TMP,SI
   READ(2,*) TMP,GAL
  は、震度や各成分の最大加速度が判っている場合には必要ですが、普通は削除しても
  構いません。 その際にはメインプログラム(計測震度)最後のWRITE文のSIやGALの削除も
  必要です。 後は、観測時間とそれに伴う加速度のデータ行となります。
   リストを熟読の上、ご利用いただければと思います。


Q.最近の距離減衰式がありましたら教えて下さい。 金沢大との合同ゼミの資料に
  したいと思います。 神戸大M1 I さん

A.近年の距離減衰式としては、距離による減衰モデルとして、幾何減衰と粘性減衰を
  考慮した
    log(A)=a・M-n・log(R)-b・R+c
  ここで、
   A:地震動の最大振幅 、 M:地震のマグニチュード 、 R:震源距離
   a,b,c:回帰係数
   n:一様無限媒質を伝わる実体波に対して1,一様半無限媒質を伝わる表面波に
  対しては1/2としており、通常n=1とすることが多い。 式の第2項は幾何減衰、
  第3項は粘性減衰、第4項は地盤特性を表す係数である。 実際の求め方としては
  2段階回帰分析を行わないと正しい係数bは求まらない。

  第1段階:d=(a・M+c)とおいて、重回帰により、地震毎にb,dを求める。
    log(A)=n・log(R)-b・R+d

  第2段階:dを目的変数として、単回帰によりa,cを求める。
    d=a・M+c

  代表的な減衰式としては、次の2式の研究が挙げられる。
  ・福島・田中(1992)
    log(Af)=0.51・M-log(R+0.006・10**(0.51・M))-0.0033・R+0.59

  ・Molas and Yamazaki(1995)
    log(Am)=0.206+0.477・M-log(R)-0.00144・R+0.00311・h+ci**a

   Af :水平2成分の最大加速度の平均値(gal)
   Am:水平2成分のうち大きい方の最大加速度(gal)
   M :気象庁マグニチュード
   R :断層面からの最短距離(km)
   ci :地点係数


Q.外国など、特に途上国では、建物は地震に対する耐久性といった意味から弱い
  のでしょうか? (特にインドの場合)

A.私の知識では何とも言い難いのですが、こと耐久性に関しては日本が世界でNo.1
  です。 これは誠に残念なことですが、それだけ頻繁に地震が起こっている証でも
  あるわけです。
  さて耐久性ですが中東や中央アジアなどは、私の中ではごく一部の大都市を除い
  て建物は煉瓦造りのイメージがあり、設計基準はあるのでしょうが、それらの国々
  からは耐震設計の言葉が浮かんできません。
  ただ、今回の地震では見かけ倒しの建設方法を業者、建築家、政府のプランナー
  がぐるになってやっており、国家のモラルを問われそうです。 


Q.地震に対する予知はどの程度までできるのでしょうか?

A.予知はできません。 地震の予知には「いつ、どこで、どれくらいの大きさ」が判ら
  なければなりません。 今の予知の研究では、1年以内とか1ヶ月以内とか迄は
  可能かもしれませんが、これも東海地方など観測網が整備されているごく一部の
  地域に限られます。

  地震予知は今日の天気予報のレベルまで行かなければ予知とは言えないでしょう。
  また、外した場合の避難に伴う経済機能の麻痺に対して誰が責任を負うのか? 
  などきちんと法整備をする必要もあります。
  いずれにしましても地震予知を可能にすればノーベル賞ものでしょう。