研究室概要

本研究室では…

本研究室では,4つのテーマを大きく掲げることとする,

「構造力学を語る」,「鋼構造を奨める」,「座屈・耐荷力を見極める」,「橋梁の耐震を制する」である.

構造力学を語る


2012年九州北部豪雨

架け橋プロジェクト

構造力学を語るには,どうしても数学的な,あるいは,物理的な背景を知っておく必要がある.さて,あくまでも土木工学における構造力学をここでは語っていく.一般に構造物というと,3D的な塊が想像できるが,土木工学では,どうしても細長いものを検討していくことになる.これは,有史から丸太を利用するなど,建設現場では,「はり」だとか「柱」だとかを利用して,当然のごとく細長いものを想定していく.と,相対的に構造物の長い方向が決まる.これを長手方向とか部材軸方向などと呼ぶ.この軸に垂直な面が結果的に部材の断面ということになる.構造力学では,大きな言葉として「断面2次モーメント」があるが,この断面の意味が最初はとらえにくい.まずは断面と呼ばれたらどこなのかを把握したいところである.

なお,本研究室では,地元中学校との美術の授業を「架け橋プロジェクト」と称してコラボレーションしており,これを運営,研究課題としたいと考えている.また,研究室としてはJSBCにも参加しており,これも研究課題としたい.そして,研究室がどちらかというと耐震工学にシフトしているところがあるため,それ以外の問題を取り扱うことも考えている.例えば,2012年九州北部豪雨での橋梁の被害分析を行うとか,2016年熊本地震での橋梁被害をどうやって後生に伝えていくかを考える模型制作などが考えられる.

主な研究課題例

  • 「架け橋プロジェクト」の運営及び教育論の発展
  • 構造力学的諸問題の可視化

研究業績

  • 藤木修, 片山英資, 葛西昭 (2018): 美術と工学を融合させたコラボレーション授業の試み, 第73回年次学術講演会講演概要集,土木学会,pp.-, 2018.8.
  • 梶田幸秀, 葛西昭, 岩坪要 (2017): 2016年熊本地震における地方公共団体管理橋梁の被害とその分析, 土木構造・材料論文集, 九州橋梁・構造工学研究会, 第33号.
  • 岩坪要, 東山祐樹, 宮下剛, 葛西昭, 玉田哲也 (2015): 老朽化したランガー桁橋の振動計測, 土木構造・材料論文集, 九州橋梁・構造工学研究会, 第31号, pp.25-34.

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鋼構造を奨める


アイアンブリッジ
(Wikipediaより引用)

構造物を工学的に判断していくには,どんな材料でその構造物が生成されているかは重要なことである.

既に英国にあるアイアンブリッジは,1781年に開通した鋳鉄製のアーチ橋で有り,年齢が230歳を超える非常に古い橋である.

現在では,鋼鉄を利用することが多いが,このような鋼構造は,材料としても安定的で有り,非常に設計に向いていると思われる.本研究室では,もちろん,コンクリートをないがしろにすることはないものの鋼構造を極めてみたい.時代は,既に複合構造などにも着目し複雑化していると言える.そのような中で,改めて見極めることは,非常に重要である.

そもそも鋼というのはどうやって精製されるのだろうか.自分自身が土木工学をベースにしている,ということを念頭に置けば,例えば,土木工学でも機械加工部分を一部除けば,普通鋼である炭素鋼を使うことが多いように思う.さて,炭素鋼というからには,やはり鉄の中に炭素が入っているのだと思う.よって,あるレベルのスコープで覗けば,不連続な材料であることは明快である.もちろん,この不連続体を極めることも重要であるが,土木工学的な構造力学を考えていく上では,連続的に見えるとごまかして,処理することが多い.コンクリートも骨材の周りはどうなっているのか,と攻めだしたら不連続体であるが,構造力学的な観点からはなるべく連続体と見なしながら,計算することが多い.よって,鋼構造を極めるには,連続体も極める必要がある.こういったことを語っていきたい.なお,鋼構造には特徴的な.高サイクル疲労とか低サイクル疲労,地震時を想定するなら,極低サイクル疲労などの問題も避けて通れない.ぜひ語っていきたいポイントである.

主な研究課題例

  • 鋼の弾塑性挙動の解析モデルへの適用法
  • 修正二曲面モデルの高精度化

研究業績

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座屈・耐荷力を見極める


空き缶の座屈
(舞鶴高専より拝借)

構造物に作用する外力としては,引張力もさることながら,圧縮力の作用も避けられない.例えば,鋼によく使われる板構造は,非常に薄い構造であるため,幾何学的に大きな変状が発生する.大きな意味では座屈現象と言えるかもしれない.座屈は,構造物を安定的に利用するには避けて通れない概念である.これを見極めていきたい.

そもそも,対象とする構造物が変形を許すために,このような議論が必要になってくる.剛体であれば,構造物自体が変形しないので,もしかしたら取り扱いが楽かもしれない.実際の土木工学的構造物を考えると,変形は避けられない.よって,弾性力学とか弾塑性力学とかも絡んでくるのは仕方のないことである.また,変形をある程度の仮定で処理するには,幾何学や線形代数,これらを総合してベクトル解析学などもクリアしていく必要があるだろう.

さて,少し鋼構造に話を限定すると,材料自体が引っ張られるときは,当然のことながら,材料の応力-ひずみ関係が重要になってくる.弾塑性領域まで考えて行くには,この応力-ひずみ関係が,重要なファクターになる.このあたりをクリアする必要がある.変形をどのレベルまでおさえるかによるが,微小変位でいわゆる線形理論の間は,実は圧縮時の座屈はでない.有限変形で2次変形まで考えるために座屈現象が現れる.よく座屈現象を狭義の座屈と広義の座屈に分ける場合がある.このあたりも議論していきたい.

主な研究課題例

  • 様々な初期たわみを有する鋼板の圧縮時における強度と変形能
  • 横構の座屈設計
  • 上下部一体構造の座屈耐荷力

研究業績

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橋梁の耐震を制する


阪神大震災

2014年熊本地震

1995年以降,耐震設計は目覚ましく進歩した.もちろん,構造物からすると対象となる地震そのものの大きさなどが徐々に明快になっていることもあるが,構造物の応答についても動的挙動を見ていくなど,進歩がすばらしい.こと鋼構造に限定すると,都市域でよく利用されている鋼製橋脚の耐震設計は,耐震性能を含めて極めて精緻にまとめられているところがある.しかし,2016年熊本地震にも見られるように大きな地震が襲来したときには,下部構造だけでなく,上部構造にも大きな損傷が発生する.

新しい時代の耐震設計では,そもそも外力としての地震動にも着目しながら,より効率的な設計が必要となってくる.これは,当該構造物の機能的存続を如何に図るかにかかっているが,地域の永続的な発展にはまだまだ見極めるべき課題が十分存在する.これを見極めておきたい.

コンクリート,ことRC構造については,既にE-defenceの活用などもあって,柱部分の耐震設計が目覚ましく進歩している.強度比も考えると,土木工学的構造力学では,柱部分に研究成果が集中するのは致し方ないことである.都市域における構造物を追いかける分には,もしかしたら,これで良いかもしれないが,日本の全ての風土を考えると,2016年熊本地震に代表されるように地盤変状を避けては通れない状況も発生する.もちろん,どこまで地震力を考えるかで考え方は変わってくるが,地震終了後の修復や復興を考えると,まだまだ上部構造を含めて研究課題があるように思える.このあたりを語っていきたい.

主な研究課題例

  • 2016年熊本地震での橋梁の被害分析
  • 橋梁被害のデジタル保存
  • 鋼構造物の耐震設計法の開発

研究業績

  • Mya Nan Aye, Akira Kasai and Mitsuhiro Shigeishi (2018): Investigation of Damage Mechanism Induced by Earthquake in a Plate Girder Bridge Based on Seismic Response Analysis: Case Study of Tawarayama Bridge under The 2016 Kumamoto Earthquake (Accepted), Advances in Civil Enginering, HINDAWI.
  • 梶田幸秀, 葛西昭, 岩坪要 (2017): 2016年熊本地震における地方公共団体管理橋梁の被害とその分析, 土木構造・材料論文集, 九州橋梁・構造工学研究会, 第33号.
  • Nishigandha KULKARNI, Akira KASAI (2012): Seismic Verification Method for Steel Bridge Piers with Pipe Section under Two Directional Earthquake Components, Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. A1 (Structural Engineering & Earthquake Engineering (SE/EE)), Vol. 68(2012), No. 3, pp.597-609.
  • 牛塚悠太, 葛西昭, 上田誠, 神代悠平, 江山栄一 (2016): 画像計測技術によって得られた初期たわみを用いた角型鋼管の圧縮耐荷力予測, 平成27年度土木学会西部支部研究発表会発表論文概要集, 土木学会, pp.19-20.

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JSBC


先生よりアドバイス

橋梁製作中

最近は,ジャパンスチールブリッジコンペティション(通称,JSBC,または,ブリコン)にも力を注いでいます.研究の傍ら,橋梁模型を製作し,他大学と競い合っています.

もちろん,研究室に配属になっていない学生でも参加は可能です.むしろ,研究室に配属になっていない学生が主役です.早い段階から溶接が体験できます.早い段階から研究室の雰囲気を味わえます.その他の授業になるべく影響しないように配慮します.ぜひ,全国の学生と交流を深めましょう.詳しくは,ブリコンの軌跡などを参照ください.問い合わせは構造力学研究室の学生で構いませんが,葛西昭准教授でも構いません.

研究業績

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所在地


熊本駅付近

新幹線でお越しの場合は熊本駅より,飛行機でお越しの際は,空港リムジンバスのご利用をご検討ください.現在のところ,交通センター付近の方に繁華街が近いと言えます.

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研究スタッフ

当研究室では,山尾敏孝教授・葛西昭准教授による研究を中心として日々,精進しております.

研究室の大きなテーマである橋梁の耐震の中でも,山尾教授は,主に座屈を考慮した耐震設計法の確立や石橋の耐震性や耐久性に関する研究を行っています.また,葛西准教授は,対象を鋼構造物としており,鋼橋の耐震・免震・制震をターゲットとしていろいろな検討を行っています.

この2名の下,社会人ドクターコース学生,大学院生,学部4年生が研究スタッフとなります.興味のある学生は,学年に関係なく,訪問してください.大事なことは研究や就職に前向きなことです.少しでも迷いがあるなら,相談することが重要です.しゃべると意外と解決するものです.

なお,当研究室は,熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センターに協力している講座です.

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担当授業

学部

社会基盤設計

構造の力学基礎

構造の力学応用

構造工学

社会環境工学実験

大学院

耐震工学特論

鋼構造の終局強度論

耐震制震設計論

構造システム安定論

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連絡先

当研究室に研究等のご相談・ご要望のある方は,以下の連絡先にお願いいたします.

山尾 敏孝  教授
住所〒860-8555 熊本市中央区黒髪2-39-1
熊本大学大学院先端科学研究部
電話番号096(342)3533
Fax番号096(342)3507
E-Mailtyamao(at)kumamoto-u.ac.jp
葛西 昭  准教授
住所〒860-8555 熊本市中央区黒髪2-39-1
熊本大学大学院先端科学研究部
電話番号096(342)3579 (現在,災害のため不通となっております)
Fax番号096(342)3507
E-Mailkasai(at)kumamoto-u.ac.jp

なお,本サイトに関するご質問・ご要望等は書面にてお送りください.よろしくお願いいたします.

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