☞免震梁の性能評の関する研究

2007
 現在は、構造材料の基準強度を安全率で除した許容応力度に基づく仕様規定型設計法から、構造物に要求される性能を規定することでより合理的な設計を目指す性能照査型設計法への移行期にある。構造物に要求される性能を規定するためには、構造設計における様々な不確定要因を確率変数として取り扱うことが必要であると考えられる。

構造物の強度や耐力は、構造材料の物性値の統計的変動性や製作精度の変動性などの様々な不確定要因を含んでいる。したがって荷重と構造形に介在する様々な不確定要因を合理的かつ定量的に取り扱うことが必要である。

免震橋梁においては、免震支承の復元力特性のばらつきが、免震橋梁の動的特性に大きく影響を及ぼすため免震橋梁の地震時の安全性確保や機能維持に対する信頼性を左右する。また、橋脚基部の塑性化も副次的であるが認められている。

免震橋梁の地震時信頼性を確認する場合には、それらの免震支承と橋脚の復元力特性のばらつきを支配する不確定要因と、地震力のばらつきを支配する不確定要因を考慮した検討を行う必要があると考えられる。

 そこで私たちは免震橋梁の動的特性に影響を及ぼす免震支承、および橋脚基部の非線形性を規定する構造パラメータ、および入力地震動を変動させたモンテカルロシミュレーションを実施し、免震橋梁における橋脚の非線形挙動と免震支承の非線形挙動に関する分布特性を明らかにした。さらに、免震橋梁を構成する各部位の健全度レベルの定義に基づき、各部位の適切な強度バランスの確率論的考察も行っている。