大学院自然科学教育部工学専攻の谷倉泉氏((一社)日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所)の博士論文発表会を平成31年2月7日(木)工学部研究棟Iの905号室において開催した。論文題目は「コンクリート構造物に生じた変状部のはつり処理に関する研究」であり,約40分の発表と活発な質疑応答が行われた。
【論文概要】コンクリート構造物に生じた変状部を除去する補修工事では,はつり処理の目的でブレーカ工法とウォータージェット(WJ)工法が主に用いられるが,これらの工法がコンクリートへ及ぼす影響を定量的に評価した研究は少なく,処理後のコンクリート内部のひび割れ状態を可視化して評価した研究はあまり見当たらない。本研究はこのような点を踏まえ,X線CT法を用いてWJ工法とブレーカ工法がコンクリート構造物に及ぼす損傷を定量評価し,それぞれの工法によるはつり処理がはつり後のコンクリートに及ぼす影響を実験的に明らかにするとともに,数値解析を用いてブレーカ工法によるはつり処理がはつり後のコンクリートに及ぼす影響を明らかにしている。さらに,これらの結果を用いて,実橋での断面修復工事における適用区分および構造物に応じたはつり方法を提案している。