2007年4月
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思い出す,ために
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写真は,京都の「無隣庵」という庭園です。ぼくが4年生のとき,所属した景観研究室の旅行ではじめて訪れ,よくわからないなりに大好きになったお庭でした。
また行きたいなあと思い続けて,昨年やっと,13年ぶりに再訪できました。学生のころ,大好きになった理由が,(ちょっとだけ)わかった気がしました。
学生のころに行った場所,学生のころに読んだ本,学生のころに考えたこと,学生のころに話し合ったこと。そのころ蓄えた,たくさんの「よくわからないんだけど,・・」ということを思い出すことが,今の自分の糧になっています。
記憶するだけではいけないのだろう。思い出さなくてはいけないのだろう。
小林秀雄の「無常といふこと」というエッセーのなかの一節です。
日々が過ぎれば,「記憶」は自然とたまっていくでしょう。でも,それが「思い出す」に足るものであるとは限りません。「記憶」と「思い出」は,まったく違うものなのです。「思い出」には,それをつくるときにも,また,それを思い出すときにも,なにか大切なことがあるはずです。
今年から,「景観デザイン研究室」がスタートします。学生たちが,たくさんの「思い出」をつくれる場所,そうなれば良いなと思っています。
photo&text/
Yuji HOSHINO