2009年4月
title/「好信楽」
comment/
先日,ゼミの中で,「美」とは何か?という難しい議論になり,
『美しい「花」がある,「花」の美しさという様なものはない』
という小林秀雄の有名な文句に話しが及びました。
家に帰ってから,原文はどんな感じだったかなあと,彼の『本居宣長』をめくっていたら,
それとは別に良いなあって思うことがありました。
(ただ,先の言葉が本当に載っているのは,『当麻』という違う文章でした。
僕の勘違いだったけど,ケガの功名ってことです)
それは,近世の大思想家である本居宣長の学問への姿勢で,簡単に一言,
「之ヲ好ミ信ジ楽シム」
ということです。この姿勢は若い頃から全くぶれなかったそうです。
「好」むこと,「信」じること,「楽」しむこと,
それぞれはできるかもしれないけど,3つがそろうことはまれだし,
さらには,それらを維持することはもっと難しいだろう。
でも,研究にしろ,デザインにしろ,この姿勢こそが基本にあるべきだし,
むしろ,これ以外はしちゃいけないんだと思う。
この姿勢がなければ,研究もデザインも,ぜんぶ嘘だ。
僕も,常に自問していきたいと思う。
本当に「好」きなのか,「信」じられるのか,そして本当に「楽」しんでいるのか,と。
今年の研究室のテーマは,「基本に帰れ」です。
photo&text/Yuji HOSHINO