地球温暖化の影響評価
Climate Change Impact Assessment地球温暖化対策は国内外において非常に重要な課題となっています. 対策には,地球温暖化の影響を適切に把握する必要があります. 様々な事象に対して,地球温暖化の影響評価を進めています.
1.全球レベルでの地球温暖化の影響評価
大気再解析データ
大気再解析データは,大気モデルによる数値シミュレーションの結果ではあるが,各種観測データにフィッティング(データ同化)が行われていて,しばしば観測データの代替として扱われます. 大気再解析データは全球をカバーしているため,観測データが少ない地域も含めて,全球での地球温暖化の影響評価ができます.
CMIP 将来気候予測データ
将来の気候予測データとして,IPCC(気候変動に関する政府間パネル)主導でCMIP6という国際プロジェクトのもと世界各国の研究機関が共通のルールでGCMを用いた将来予測シミュレーション結果を公開しています. その際,人類が今後どのような経済発展や環境対策を選択するかを想定したSSP(共通社会経済経路)という未来シナリオを組み合わせることで,「社会のあり方に応じた将来の気温上昇」の影響を含めた将来予測を可能にしています. このCMIP6の将来気候予測データを元に,全球レベルでの地球温暖化の影響評価を進めています.
過去期間の降水量の変化 (ERA5を利用)
2.高解像度シミュレーションによる将来予測
将来気候予測データの力学的ダウンスケーリング
将来気候の予測は全球気候モデル(GCM)により行われています. 計算資源の限界があり,GCMの水平解像度は100km以上のものが多く,地域・流域レベルの解析には粗すぎます. また,シミュレーションの中で日本の豪雨時の大気の状況を適切に表現できません. そこで,領域大気モデルによる高解像度化(力学的ダウンスケーリング)を行います.
2km格子での日本全国シミュレーション
現在,日本全国の1級水系流域を全てカバーするように力学的ダウンスケーリングを進めています. 領域大気モデルの計算領域を複数に分け,各計算領域内の流域に対して,モデルの調整を行っています. その上で.将来気候予測データの力学的ダウンスケーリングを進めていきます. 2kmという将来な解像度で行うことにより,日本の複雑な地形を反映させた,将来予測が可能となります.
全1級水系流域を対象とした計算領域
3.ダウンスケーリング結果を用いた地域・流域レベルの影響評価
ダウンスケーリングした将来気候予測データは高解像度になります. 高解像度の利点を活かし,地球温暖化に関する地域・流域レベルの様々な影響評価を行えます.
降水量への影響
降水量はダウンスケーリングに用いる大気モデルの出力に含まれます. 水循環を考慮するときはまずは降水量から解析を行うことが多いです.
積雪・融雪への影響
気温上昇により,大きな影響を受けるのが,降雪ー積雪ー融雪の課程です. 積雪がある地域では,春から初夏にかけて,雪解け水が貴重な水資源になっていることが多いです. 地球温暖化によて融雪のタイミングが変わると大きな問題が生じます.
河川流量の変化
降水量や積雪・融雪の変化に加え,蒸発散等を通じて地球温暖化の影響を受けます. そのため,降水量の変化がそのまま河川流量の変化になるわけでく,個別に解析していく必要があります.
降水量の将来変化
積雪量の将来変化 (Ishida et al., 2018)