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曽木はっけんウォーキングの様子
平成18(2006)年7月に発生した記録的な豪雨は、鹿児島県の川内川流域に甚大な被害を引き起こした。その災害復旧を目指した直轄河川激甚災害対策特別緊急事業(通称:激特事業)が採択され、その一環として、曽木の滝分水路(洪水を分流する施設)は建設された。年間約30万人が訪れる観光地「曽木の滝」に近接するため、景観保全への配慮が必要であった。設計時の入念な検討から、施工時の試行錯誤まで、すべてのプロセスで新しい試みを行った。その結果、地形改変を最小限に抑えて治水機能を満足させるとともに、アメニティの確保や豊かな環境創出をも実現し、災害復旧にとどまらない新しい価値を地域に与えることに成功している。

曽木の滝分水路が2012年度グッドデザイン・サステナブルデザイン賞を受賞しました(2012/11/25)

 自然科学研究科星野裕司准教授・景観デザイン研究室及び小林教授・空間情報デザイン研究室が携わった、鹿児島県伊佐市の「曽木の滝分水路」が2012年度グッドデザイン・サステナブルデザイン賞(経済産業大臣賞)を受賞しました。この賞は、2012年度に選ばれたすべてのグッドデザイン賞受賞対象の中で、持続可能な社会の実現を目指しているものに贈られ、今年は4件が受賞しました。
http://www.g-mark.org/activity/2012/results.html

プロデューサー

国土交通省

デザイナー

星野裕司(熊本大学准教授)、熊本大学:景観デザイン研究室、空間情報デザイン研究室、株式会社東京建設コンサルタント、河野耕三(緑化指導)、福留脩文(石工指導)

審査委員からの評価

鹿児島県の川内川流域は2006年7月の記録的豪雨で甚大な被害を引き起こした。この曽木の滝分水路は、その災害復旧の一環として建設された。最大の特徴は自然景観保全のために地形改変を最小限に抑えつつ治水機能を満足させた事。そのためこの地の特徴である岩盤を上手く生かした事である。河川断面を決定するために入念な事前検討を行い、岩盤を粉砕するダイナマイトの位置を細かく計算するなど、工学的、技術的解決により、今までにない自然な河川空間を作り上げた。その結果、災害復旧にとどまらず近接する観光地「曽木の滝」と連動し、アメニティの確保といった新たな価値を地域に創出した事は土木的にも画期的な事である。

※グッドデザイン賞とは

グッドデザイン賞は、1957年に創設されたグッドデザイン商品選定制度を発端とする、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の運動です。これまで55年以上にわたって、デザインを通じて日本の産業や生活文化を向上させる運動として展開されており、のべ受賞件数は38,000件以上にのぼり、今日では国内外の多くの企業や団体が参加しています。グッドデザイン賞受賞のシンボルである「Gマーク」は、すぐれたデザインを示すシンボルマークとして広く親しまれています。