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曽木の滝分水路
伊佐市の概要
曽木の滝
地域資源島県伊佐市の代表的観光地で、年間約30万人が来訪する。滝幅210m、最大落差12mの国内最大級の大瀑布。 平成21(2009)年、「平成百景」(読売新聞)において、全国第24位で設定された。来訪客の大半は滝を見て帰る通過型の観光であり、滞在時間の延伸が課題である。 鹿児島県伊佐市は鹿児島県・宮崎県、熊本県の県境に位置する、県最北の市である。人口約1万人。他の地方都市と同様、少子高齢化による人口減少や低雇用率が深刻な課題である。

地域資源

曽木の滝の下流2km以内の範囲には、多彩な歴史を物語る地域資源が多数存在する。独特の岩盤地形を形成した太古の時代。豊臣秀吉と新納忠元の逸話も残る戦国時代。肥沃な伊佐盆地で覆われた米を運ぶため川ざらえ(河川工事)が行われた江戸時代。曽木の滝の豊かな推量を利用し、鉱山や水俣チッソ工場に電力を供給した明治時代。景勝地として多くの観光客が滝や紅葉を楽しむ現代。近年ではさらに、曽木発電所遺構、ビオトープ、曽木の滝分水路、新曽木大橋、曽木の滝観光拠点施設が相次いで完成。さらに明治期の発電所取水口跡と曽木の滝の水力を利用した、小水力発電所が建設中である。

曽木の滝周辺の地域資源マップ


曽木発電所遺構

曽木発電所遺構

明治43年間性の曽木第二発電所煉瓦造の建屋。下流の鶴田ダム建設により水没するまで約55年間稼働した。平成19年に保存修理。対岸には展望所もある。

あったらし村

あったらし村

大鶴湖の水質保全推進のために整備された、宮人川水質浄化施設。2010年完成。川内川との合流部に位置し、地元NPOが環境調査や自然学習会などを実施している。

新曽木大橋

新曽木大橋

全長204m、幅10.5m、地上70mの主塔からケーブルを張出した斜張橋。2011年11月開通。橋からは曽木の滝、美しい夕日、両岸の岩石、と大鶴湖の絶景がのぞめる。

観音淵

観音淵

豊臣と嶋津の和議の帰路、秀吉が曽木の滝を見物した。地頭 新納忠元は、秀吉を観音淵から多岐に突き落とそうと謀る。それを察した秀吉は忠元の袖をつかみ、一時も放さなかった。

平成18年7月鹿児島県北部豪雨災害

平成18(2006)年7月19日から23日にかけて、薩摩地方北部を中心に発達した梅雨前線の影響により、川内川流域では総雨量1,165mmに及ぶ記録的な豪雨となった・この豪雨により、川内川本支川において136カ所の浸水被害等が発生した。川内川上流から下流に至る流域の3市2町(薩摩川内市、さつま町、伊佐市、えびの市)の約5万に避難勧告等が発令され、浸水面積約2,777ha、浸水家屋2,347戸に及ぶ甚大な被害となった。

再度災害防止を図るため、川内川流域が河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)が採択された。平成18年度からおおむね5カ年間の事業により、川内川等の反乱による家屋の浸水被害(約1500戸)を解消することが目的。当該事業は、全体事業費256億円で九州地方九州地方では過去最大の事業規模となった。また、採択延長は川内本本約62kmで、全国2位の規模となった。

 

□本格的な景観権等が導入された重点地区

当該事業の中でも大規模事業となるさつま町と伊佐市の分水路では重点地区として、整備に際し本格的な景観検討が行われた。激特事業は短期間で設計から施工までを行わなければならない。そうした状況下で、重点地区である伊佐市域(曽木の滝周辺)とさつま町域(虎居地区)においては、工学的な性能と景観・空間的な質の向上を時間的な制約の中で両立させた。このような景観的・空間的配慮は激特事業としては先駆的な取り組みである。
【さつま町域の激特事業】
浸水深約3mに及ぶ虎居地区の壊滅的被害を、湾曲部大規模にショートカット(推込分水路)と稼働掘削、築堤により解消を図った。同地区の虎居城跡の石垣にならい、河床や護岸には石積みが施された。石材は、曽木の滝分水路整備において発生した大量の掘削岩が用いられた。

虎居地区