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熊本大学 工学部 社会環境工学科 / 大学院 社会環境工学専攻

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進路情報

卒業生インタビュー VOICE 05

建設コンサルタントのキャリアパス

卒業生経歴

株式会社福山コンサルタント 専務取締役企画本部長  柴田 貴徳 氏

学生へのメッセージ

社会資本整備に関わる技術者として、楽しく、おもしろく仕事をやっていくためのちょっとしたポイントをまとめてみました。私の職業柄、コンサルタントを想定した場合に主眼がありますが、恐らくどんな職業にもあてはまるものだと思います。

(1)知識
①大学で学んだ専門知識はごく基本。社会人になってからの実務は、入社後のOJTでもう一度0から組み立て直すぐらいの気持ちで。あまり窮屈に考えなくてOK。
②専門領域ではない知識を豊富に幅広く持っていることは、意外と大きな強み。
(2)資格
①基本的には、技術士補、技術士、総合監理、そして学位(博士)。技術士は、技術者の運転免許、特にコンサルタントでは。勉強すれば必ず合格する。
②他にもRCCM、一級建築士、環境計量士、土木施工管理技士等も。文化系に強い人は、社会保険労務士、中小企業診断士等の取得にトライすることも視野に。
(3)興味
特に限定はしないが、関連する領域を芋づる式に広げていくのも手。
①地域社会、交通、経済、公共政策、まちづくり等
②構造、建築、造営物等
③自然、環境、生態等
④金融、不動産、企業経営等
⑤人間のあり方、歴史、思想等。  非常に人間くさいものも大事。
(4)志向
①“熱闘”志向 (熱くないと埋もれてしまう。”熱さ“の分野は問わない。)
②“激論”志向 (議論百出、議論沸騰の中に新しい発想の芽生えがある。)
③“無差別”志向(議論の場では、年齢、経験年数、職位、性別等は無関係。)
(5)働く目的
①誰かのため社会のために役立ちたい
②単純に仕事がおもしろい、性に合う
③発注者、仕事仲間とひとつの仕事を練り上げていく充実感、達成感
④生活のため、家族を養うため
⑤組織にとって必要とされる人間でいたいから 等々
いろいろあるけど、迷ったり行き詰ったりしたら「働く目的」の原点に戻ることも。
(6)最後に「こうなれたらいいな〜」
①判断力・実行力があり、頭の回転が速く、自己の体験に根差した説得力のある話ができ、何事も苦労を厭わない人
②明るく誠実で、対応に差別がなく、なにがあっても挫けないユーモアのある人
③考え方に揺らぎがなくかつ広さと深さがあり、発想がユニークでおもしろい人
(7)おまけに一言
「揉まれて育つ。まずは他の人の言うことを心穏やかに耳を傾けて」「心身ともに健康なら大丈夫、なんとかなる」「自分には向かないと感じたら、方向転換は早いほうがいい」
これまでの主な経歴

手がけた仕事

九州・中国・関東地方を中心に都市地域計画関連のコンサルタント業務に従事
専門は、都市マスタープラン、都市計画道路網調査、連続立体交差化事業調査、
市街地拠点開発計画、市町村総合計画等
海外についても、JICAベースのODA援助プロジェクトで、フィリピン国マニラ都市圏、
マレーシア国クランバレー都市圏等の総合都市交通計画およびフィジビリティ・スタディに参画

インタビュー

筆者と三軸圧縮試験機

プロフィール
 応用地質株式会社 東京本社
 河口 達也 氏

卒業年度
 学士:平成12年3月(平成11年度卒業)
 修士:平成14年3月(平成13年度修了)

Q.在学中の思い出は?

私が行っていた研究は、X線CTを使った岩石の透水現象の可視化とCT画像を用いた透水係数の算定方法の開発でした。実験は、長さ5cmの供試体を水に浸けて、20分ごとのCTの撮影を24時間繰り返すという作業でした。 実験は単調な作業の繰り返しになりますが、夜を徹しての作業となること、マシンの不具合など不測の事態への対処など結構大変でした。その分、良い実験結果が得られた時の充実感は大きかったですが。 また、良い先生・先輩・同級生・後輩に出会えたことも人生の大きな宝です。

Q.現在のお仕事は?

現在は応用地質株式会社で三次元陸水シミュレーションソフト「GETFLOWS」を主力武器として表流水・地下水など水に関わるコンサルタント業務を行っています。また、三次元でシミュレーションを行うためには三次元の計算モデルを作らなければならないので、三次元CADやGISなどの最新のソフトを使いながら仕事をしています。

現在の職場は「コアラボ」と呼ばれる地盤に関わるいろいろな実験ができる施設の中にあります。ここには、私が直接扱うことはありませんが大きな三軸圧縮試験機(岩石の強度を測定する装置です)があり、なかなか見ごたえがあります(岩盤の研究室出身なのでこういう装置に胸がときめきます)。

応用地質株式会社:http://www.oyo.co.jp/
GETFLOWS:http://www.getc.co.jp/

Q.お仕事の魅力は?

私の会社は地盤の特徴をとらえることに強みを持っています。地下水は地盤の性状とその分布によって流れ方が決まってしまうので、地盤のとらえ方(モデル化)によって答えが変わります。 現地調査とシミュレーションを同時に進めながら実態の水の流れに近づいていくのは大変な作業ですが、シミュレーション結果を用いて流域全体の水の動きを可視化すると、「へー、こういうふうに流れているのか。」と思うことが多々あり、とっても面白いですよ(^_^)。

Q.これからの展望は?

「21世紀は水の世紀」と言われて久しいですが、当然のごとく私達の生活に水はかかせません。 また、水は地盤の構成要素として工学的にいろいろな問題に関わっており、多様な側面があります。 今後「水資源としての問題」、「治水や親水、環境の問題」、「高レベル放射性廃棄物地層処分における地下水の問題」など安全で安心な社会生活の実現に向けて解決していかなければならない問題が沢山あります。これらの問題の解決の一助となることが出来れば良いと思います。

Q.新入生・在学生へのメッセージをどうぞ!

仕事をしていると、改めて「大学生」という時間は、自分で考え、自分で行動でき、しかも自由な時間が多いという、人生の中でかなり特殊な時間だと感じます。
いろいろなことに挑戦して、濃密で楽しい時間を過ごして下さい。

インタビュー

プロフィール
 株式会社九州開発エンジニヤリング 環境部調査課
 楠本 良一 氏

卒業年度
 学士:平成17年3月(平成16年度卒業)
 修士:平成19年3月(平成18年度修了)

Q.在学中の思い出は?

思い出深いのは、部活とサークル活動、研究室です。学部時代、講義以外は、部活(アイスホッケー部)かサークル活動(ボランティア)ばかりしていたような気がします。講義の思い出といえば、遅刻と居眠りばかりのような気がします。でも、もともと土木に非常に興味があったので、講義を聞くのは好きでした。妙な質問をして、先生や講師の方を困らせたり、笑われたりも多かったです。研究室は、朝から晩まで同じメンバーと過ごし、研究に関する議論をしたり、悪ふざけしたり、本当に楽しかったです。研究自体には、「もう少し頑張れたのでは…」という後悔もあります。

Q.現在のお仕事は?

地場の建設コンサルタントとして、主に調査業務に従事しています。建設コンサルタントは、主に官公庁を顧客として、土木建築関連の計画、調査、測量、設計、監理、補償等の業務の技術的サポートを行う業者です(分類としてはサービス業)。当社は主に河川と道路を専門としており、私は調査部門として主に以下のような業務に携わっています。

・騒音・振動調査
建設作業現場や自動車交通、工場等の稼動によって生じる騒音・振動を測定し、その測定値が規制値や基準値を超えていないか検証します。もし規制値や基準値を超えていた場合は、軽減対策や緩和対策を提案します。
・交通調査
道路・交通計画、交通管理、運用計画を企画・立案するためには、道路・交通状況や自動車交通の特性の把握が不可欠です。その把握のために、交通量(自動車・歩行者)、速度調査、渋滞状況、経路調査等の様々な交通調査を実施しています。交通調査は、大量の調査員が必要となるため、学生アルバイトに協力していただくことが多いです。得られたデータを整理し、道路・交通計画の基礎資料としたり、道路整備後の効果検証を行ったりします。
・水文観測
水文観測は、広義には、地球上における水と物質の循環の個々の過程を定量的に把握する手段であり、その対象とする項目は多岐にわたります。近年は、人為的な地球温暖化による異常気象が問題となっており、国民の安全・安心を守るためには、合理的なインフラ整備や災害予測技術が必要であり、水文観測データはその基礎データとして非常に重要です。当社では、主に降水量及び河川の水位と流量の観測を実施しており、具体的には、自動観測を行う観測所の保守点検、平常時と洪水時の河川流量観測、水文データの資料整理を行っています。
・水質調査
ダム貯水池や海域の水質管理及び水質問題の解決のための調査を行っています。得られたデータを検証し、水質に係わる種々の現象の解明の基礎データを作成したり、問題解決の提案を行ったりします。
・生物調査(魚類、植物、爬虫類、哺乳類等)
魚類や植物、爬虫類、哺乳類等の種類や生息数を定期的に調査して、生物種の変化や動向を確認したり、環境影響評価として、公共事業等が生態系に与える影響を事前に確認するための基礎資料を作成したりします。

Q.このお仕事を選ばれた理由は?

研究では衛生工学を専攻したものの、「人々の生活の基盤を支える社会資本整備に係わる仕事をしたい」という考えは変わらなかったため、土木分野に進もうと決めました。土木分野には、事業者(主に官公庁)、設計者(建設コンサルタント)、施工者、メーカー等がありますが、私は、事業者よりも技術サイドに、施工者やメーカーよりも計画・設計サイドに近い建設コンサルタントを志望しました。

Q.お仕事の魅力は?

地場企業で業務エリアが九州圏内であるため、大手企業と比べると業務の規模は小さいです。でも、地場の建設コンサルタントとして、自ら調査を行い、自ら結果をとりまとめ、技術的提案を行うことが多く、やりがいがあります。 自ら調査を行い、自らの結果をまとめるという流れは、大学における研究(実験→論文)の流れと同じで、楽しいです。 また、とりまとめた調査結果は、社会資本整備の計画・立案・検討の基礎資料となる重要なデータであり、「陰ながら社会資本整備に貢献している」という誇りを感じています。

Q.これからの展望は?

土木業界は厳しい状況にありますが、今後も土木の技術者として頑張りたいです。近年、土木は「負」のイメージが強く、世間の理解を得にくくなっています。
しかし、地球規模の温暖化による異常気象の増加、地方中小都市の衰退、環境問題、エネルギー問題等の問題が顕在化し、その対策が喫緊の課題となっています。

安全・安心な暮らしを確保し、自然との共生を図り、「持続可能な発展」を目指すためには、土木の活躍が必要不可欠です。
国民のニーズの高度化、多様化、国際化が進展し、情報通信分野を筆頭とする技術の目覚しい進歩により、技術者はより高度な専門的技術や総合的技術が求められています。

公共事業においては、「より安く、より良いもの」をつくるための、技術革新と品質確保が重要となっています。
こうした中で、「言われたとおりのことしかやらない」受動的な技術者ではなく、自ら課題を見つけ、解決策を考え、提案できる能動的な技術者が必要です。
世間の風当たりや、残業の多い過酷な労働条件(特に建設コンサルタント)、なかなか上がらない給与等の問題はあるものの、前にも増して、土木技術者の必要性と飛躍の可能性を感じています。

Q.新入生・在学生へのメッセージをどうぞ!

講義を受けたり、教科書や論文を読んだりも大事ですが、学生のときにやっておくべきだと感じることは、いろんな人と話したり、いろんな場所に行ったりすることで見聞を広めることではないかと思います。そこで、見て、聞いて、感じたことが、技術者としての核になっていくような気がします。 そして、一番大切なことは「チャレンジすること」と「失敗すること」です。「やりたい」と思ったことは、何事もまずやってみる、そこで失敗したとしても、その経験は貴重な財産になります。失敗することのリスクよりも、チャレンジしないことでチャンスを逃すリスクの方が大きいと、今になって痛感しています。 新入生、在学生のみなさん、たくさん「チャレンジ」し、たくさん「失敗」してください。

その他の業種

  • 国土交通省
  • 県庁
  • 市職員
  • ゼネコン