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熊本大学 工学部 社会環境工学科 / 大学院 社会環境工学専攻

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教員と研究グループ

研究プロジェクト

プロジェクト名 有明海・八代海再生プロジェクト

滝川清教授(沿岸域環境科学教育研究センター長兼任)をリーダーとして、 「有明海再生の研究プロジェクト」が平成17〜21年の5カ年間にわたり、 約4億円の文部科学省予算で行われています。 有明海の流れ、海底の土の移動、生物生息の状況など環境特性を調べ、具体的な再生技術の開発と実証実験が行われ、 多大な成果が挙げられています。 また、平成23年から、これまでほとんど研究が行われていない八代海について「生物多様性のある八代海再生研究プロジェクト」が、 同じく5カ年計画(約3.5億円)で開始され、海域の環境・防護・利用の調和を目指した先駆的研究が展開されます。

環境最先端:海域環境再生への新たな取り組み
(1)“回復・改善・創成・工夫・維持”による沿岸海域の環境再生の取り組み

有明・八代海の環境は複雑な環境要因に支配されており、その環境再生に当たっては科学的・総合的視点からの取り組みが必要です。 海域環境再生の包括的目標は「多様性のある生物生息環境の改善・再生と維持」であって、 これを実現するための技術が「底質環境改善」、「水環境改善」、「負荷削減」のための技術となります。再生技術の開発・適用に際しては、 “生物生息環境の場を①回復(失われた場をもとに戻す)、②改善(悪化した場を良くする)、③創成(新しく場をつくる)、 ④工夫(より良い場になるよう工夫する)、 ⑤維持(悪くならないよう維持する)”の認識が肝要です。ここでは、環境改善技術の実例として、 その有効性が認められ再生方策として大いに期待されている「干潟なぎさ線の回復」について紹介します。

「干潟なぎさ線の回復」は、海岸線の人工化によって失われた本来水辺や海岸線にあたる潮上帯から潮下帯までの緩やかで連続した地形を創成することによって、 生物や塩生植物等の生息場を復元し、干潟生態系が有している自己再生機能を回復させる技術です。熊本港で実証試験を行っており、 2005年10月に「東なぎさ線」、2006年9月に「北なぎさ線」、 2007年9月には防護護岸等のなぎさ線が造れない場所への対策として「エコテラス護岸」を造成して調査を継続しています。 東および北なぎさ線は、2つの突堤の間に海砂や浚渫土を敷設して造成し、 周囲は“ちどり”状の潜堤もしくは開放した形状としており、外部からの干潟土砂が出入りできる構造になっています。 その地形は潮汐や波・台風等により変形を受けたものの、造成約2年後には地形も安定、 また造成した砂内部には干満に伴う海水の浸透によって常時保水性の高い地盤環境が形成されたりしています。 なぎさ線の回復によって多種多様な生物の生息場が復元され、絶滅危惧種や希少種も多数確認されるといった多大の効果が実証されています。

熊本港「東なぎさ線」 熊本港「北なぎさ線」

ここで紹介した実例以外、「人工巣穴による底質改善」では、底生生物の巣穴を人工的に再現し、 干潮時に干出する干潟域では水位差、干潟にならない場所では潮流を利用して、底泥中に上層水を輸送し、 微生物活性により好気的環境を創出することで底質改善を行なう技術、 また牡蠣を用いた「バイオレメディエーションによる堆積物中の有害物質除去技術」など、 ユニークな現地試験を行っております。

また、熊本県玉名横島海岸では、防護目的で建設された干拓堤防の前面に、 連続突堤と盛砂工を施し“防護・環境と景観”に優れた 新たな海岸堤防の事業が九州農政局との共同調査により進められています。

エコテラス護岸 消失した生物生息場が回復するとともに景観・親水機能も向上(熊本県玉名横島海岸)
(2)“八代海再生研究プロジェクト”が開始されます

環境悪化が著しいにも関わらず、有明海のように調査・研究が行われなかった “八代海”を再生するための研究プロジェクトが、 平成23年度から5カ年の予定で開始されることになりました。 文部科学省の特別経費による研究プロジェクト「 生物多様性のある八代海沿岸海域環境の俯瞰型再生研究プロジェクト」が認められ、 滝川教授をリーダーとして沿岸域センターの教職員を中心としたスタッフで実施されます。

研究の概要は、地域に立地する熊本大学が長年にわたり取り組んできた海域環境の研究・教育の実績に基づき、 「環境変動の評価と予測手法の開発」「未知事象の解明」「再生技術の開発と実証」の学際的学術研究を進展して、 「生物多様性の沿岸環境」を目指した八代海の真の再生に取り組むこと。また、八代海が抱える課題を、 「自然・生態環境」「安全・防災」「開発・利用」の調和した新たな観点から取り組み、 実施できる沿岸海域環境の再生策を研究・検討。さらに、環境・防災の両視点から検討した対応策は、 八代海をフィールドとして自治体及び住民とが一体的に実施する成果として還元していくなどです。このプロジェクトの地域への成果として、 ①海域環境の真の再生による生物多様性・水産資源の回復及び増加による地域活性化、 ②環境と防災の調和した安全・安心な持続性のある地域社会の形成、 ③底質改善や水質改善技術の開発による地域環境産業の振興など、大いに期待されます。

生物多様性のある八代海沿岸海域環境の俯瞰型再生研究プロジェクト 本プロジェクトの概要と地域及び本学への最終的な波及効果

その他のプロジェクト
地域水害リスクマネジメントの構築と実践
熊本の水辺づくり
地域水循環を踏まえた地下水持続利用システムの構築
X線CT技術の活用
衝撃エネルギー工学の創生のためのコンクリートの環境軽負荷技術の開発